美人は別に生物学的に優れてはいない

 〔約1500文字|読了の目安:3分〕

 美人がモテるのは、美人は生物学的に優れていて子孫の繁栄に有利だからだと言う人がたまに    

 そんなものは少し考えれば間違いだとわかる。

 子孫の繁栄に有利というのは、多産・健康・長寿、といったことだろうが、美人ほど多産で健康で長寿だという話は聞いたことがない。
 「美人薄命」とか「白血病は美人の病気」とか「天は二物を与えず」とか「胸の大きさと知能は反比例する」といった逆の意味の言葉なら思い当たる(もちろんこれらに科学的根拠があるとは思えないが)

 また、

 ・顎は細いほうが美人に見えるが、角張っている方が物を咬む力は強い(生存に有利)
 ・この理屈だと「乳房が大きいとモテるのは、生物学的に優れていて生存に有利だから」ともなりそうだが、それならなぜ美人で微乳の人、不美人で巨乳の人がいるのか
 ・某女子サッカーチームの選手は優れた運動能力の持ち主だが、美人だっただろうか
 ・美人な芸能人が闘病した例は少なくない夏目雅子大原麗子小林麻央など)。障害児を産んだ例もたびたびある
 ・女性政治家や女性実業家などは優れた能力を持つと思われるが、特に美人が多くはない(たまに美人がいるとメディアへの露出が増えるため目立つが、数として多いわけではない)

 上記のリンクの中には、顔が左右対称なほど美人で健康だという記述もあるが、それは美人の定義としては不十分だ。
 美人かどうかに大きな影響を与えるのは目だ。目が小さい美人は滅多にいない(たまにいる)。目が小さくて形が悪かったり三白眼だったりしたら、左右対称であっても不美人に見える。逆に美人でも斜視だったりして左右非対称な人もいる(その分、美人度は下がるが)

 また上記のリンクは、美人の基準が時代や国によって変わることも考慮していない。

 若い女性がモテるのは、出産に適した年齢だからということで生物学的に説明がつく。しかし美人についてはどうだろう。
 クジャクのように他にも美しさで異性を引きつける動物はいるが、その理由はよくわかっていないらしい
 ではおそらく、生物学的に人間の美人がモテる理由もわかっていないのだろう(わかっていたら大発見なので教えて欲しい)

 「美人は生物学的に優れている」というのは、「不美人は劣った人で子供を作る資格がない」と言っているも同然の安直で愚劣な差別思想なので、浅はかな考えでこんなことを言っている人は山奥に数年籠もって猛省してもらいたい。


■余談

〈1〉
 そもそも「優れている」とか「健康」というのが曖昧な言葉だ。それまで病気をしたことがないけど、50歳くらいでガンで急死した人は健康なのか。小さい頃から持病があるけど、80歳くらいまで生きた人は不健康なのか。
 健康といえるかどうかには様々な要因があり、一口でいえるものではない。病気にかかわる遺伝子も複数あり、一見、健康に見える人だって何らかのリスクのある遺伝子を持っている可能性がある。アンジェリーナ・ジョリーが、乳がんのリスクのある遺伝子のため乳腺を切除したのは有名な話だ。
 誰であれ、ある面では健康だがある面では不健康、というのが正しい認識だろう。

〈2〉
 外見の良さが内面と関連しているという似たような発想に、骨相学というものがあった。頭の形(さらには人種)と知能に関係があるという説だが、今ではまったく否定されている。
 どうも人は、こういう単純でわかりやすい理論を信じたがる傾向がある(血液型診断とか)

〈3〉
 バイオリニストなどの女性の音楽家で、テレビなどのマスコミに露出が多い人には美人が多い印象がある。
 これについては、名前は覚えていないが音楽業界の男性が「顔が良くて技術がそこそこあれば有名になれるこの業界」と新聞に書いているのを読んだことがある。