ベジタリアンのキャットフードとは
肉を含まないベジタリアン・ヴィーガンのキャットフードというものがある。日本ではAmiとBenevoという商品が見つかる。
栄養面で問題はないのかという疑問については、
A. 猫は肉食なのだから菜食は適さない(ただし一般のキャットフードにも穀類は含まれている)
B. AmiかBenevoを10年以上与えているが問題ない
という意見と証言がある。どちらももっともらしく、最終的な結論を出すには猫の栄養の専門家の意見が複数出揃うのを待つべきだろう。
ベジタリアンのキャットフードを与えてみる
ところでうちの猫は尿にストルバイト結晶が出やすい体質で、放っておくと尿路結石になるおそれがあるため、ロイヤルカナンの「ユリナリーS/O オルファクトリー ライト ドライ」という専用の療法食を与えている。これには魚肉や動物性油脂が含まれる。
ここでベジタリアンのキャットフードを与えても大丈夫なのだろうか。1ヶ月間、餌の3割にAmiを混ぜて与えてみた。
ひと月後、尿検査をしてみると、わずかなストルバイト結晶が出ていた。
餌をユリナリーS/Oのみに戻すと、2ヶ月後の尿検査でストルバイト結晶は消えた。
現時点でベジタリアンで猫を飼うのは難しい
やはりAmiとBenevoは療法食ではないので、療法食の必要な猫には適さない。
どの猫だっていつ病気になるかわからないから、今、健康な猫にAmiかBenevoを与えていたとしても、いつか療法食が必要になる可能性がある。そう考えると、猫をベジタリアン食のみで飼うというのは無理がある。
ストルバイト結晶に効くというサプリメントもあるのだが、フードで対処できるならフードで対処したいというのが獣医の話だった。
ヴィーガン(完全菜食)の人で猫を飼っている人がいるが、猫にまでヴィーガンを徹底するのは無理ということになる。
ヴィーガンというのは動物の犠牲をできるだけ減らすという思想だ。そうすると、餌のために多数の鳥や魚を犠牲にしてまで猫を飼うべきなのか? という倫理的問題が発生する。
鳥や魚の犠牲を抑えるなら、捨て猫がいても救わずに見殺しにしなくてはならないのだろうか。これは難しい問題だ。
今後はどうなのか
ベジタリアンの療法食が作られればすぐに解決するわけでもない。
うちの猫は安い療法食から試していったが効果が出ず、どんどん値段を上げていってようやくロイヤルカナンで効果が出た(「ユリナリーS/O オルファクトリー ライト ドライ」は4kgで6000円前後)。
療法食も猫によって合う合わないがある。だからベジタリアンの療法食が1種類だけ作られたとしても、それで効果が出る可能性は高くはない。複数種類は必要だ。
ヴィーガンを徹底して猫が飼えるのは、ベジタリアンの療法食が複数揃ってからでないと無理だ。
猫が飼えないのは大変辛いことだが、ヴィーガンを徹底したいなら、菜食のウサギなどを飼うべきかもしれない。